神戸文化ホール中ホール
1000人の定員は満員です
まだ雪模様の曇天の下
三列もの行列に並び
開場を待つ人びと
12:30開場時間の一時間前から
並びの列は始まりました。
タクシーが和服姿の女性を運んで来ますが
容赦なくみぞれは降り注ぎます。
開場時間を早めました。
お集まりの方々
ゆっくり前へお進み下さい
というアナウンスで
お能の会場に列は吸い込まれていきます。
松山との文化度の違いは
その見識の高さや学びの深さの違いかもしれない
ふとそう思いながら
離れた所で私は
いそいそと席に着く人びとを
垣間見ておりました。
普段の生活の中に
普通にお能の文化が浸透している。
屈託のない普段着の学びが
深い言葉の数々で
ロビーに溢れている。
関西の良さは
この神戸でも 京都でも 大阪でも
姿勢の厳しさの違いはあるとしても
どんと居座る見事な文化は
深い所で繋がっている。
松山は?
大洲は?
宇和島は?
私も懸命に向かおう
そして
特別でない文化の、
日本の頂点に位置する
能の文化の深さを
古典を、
伝えて行こう。
私の元に学びに来る方々のためにも
更に高みを、
更に進化した芸術と
生きる真理を、
真剣に伝えて行きたい。
絢爛豪華な鬼揃(おにぞろえ)に
人の心にひそむ二面性を思い
凋落の淋しさと
僅か残る薫香と
潜む怪しい優雅な色香を感じ、
時の裏切りを冷たく引き離して
冷笑しながら
生きて行こうとする美女たち
美しいゆえに
けばだつ女のさがは
ささくれ始めると
途方もなく崩れゆくのかもしれない
人の心にすむ般若は
なぜ いつも女性なのでしょう?
美しいゆえに
純粋なゆえに
許すことの絶対できない思いの丈が
つのとなって残酷に額に生え上り、
口は耳まで裂けるのかもしれません。
元祖女性は太陽であった
はずなのです。
今回のお能は
紅葉狩
美女が六人
もうすぐ桜狩りの華やかな時が
山からやってきます。
今年も
精一杯の装束で
お花見に向かいましょう
昔日の美女になったつもりで
残り香を求め
時の流れに
置いていかれないように
桜の花のもと
桜川でも
皆さんでお謡しましょうか?
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