扇は能楽に携わる者にとって
体の一部です。
思いを 心 を伝えるために
習得した 技 を魅せるために
自分の可能な限りの表現力の全てを
肉体に代わり 扇に託します。
扇の扱いを識ること
これが 能楽の稽古の最初だと思っています。
扇には目がある。
その目と舞い手の目が同一方向であること
想いを表すにも
景色を見渡すにも
扇の目は
心と、体と、共に動き始めます。
しかし
激しく怒りを吐露する時
深く哀しみを押し込める時
戦い終わり 橋掛りをあゆみ
彼岸に帰る時
シテの扇は
体から離れたり
静かに
握られているだけなのかもしれません
心の奥深く 沈潜する想いは
人に伝えることを目的としない時、
目を閉じて端坐するのみで
完了します。
端坐し
そして
扇をつくこと。
心を、表現する時です。
謡で、そこに過去存在した霊魂の主たちに代わり
思いの丈を、伝える時です。
聞こうとする人たちだけに向かって…
謡の時は
扇の扱いはただそれのみです。
膝の前に静かにつくだけ、他に何の所作もありません。
能の無限の「奥深い」世界を
一本の扇を支えに
自分の体で、心で、習得した技で、
表現する試み。
いい加減な
おろそかな扱いは
扇に、そして表現主体者である自分に、
一番失礼なことだと考えています。
吉田高校の生徒の皆さん
素晴らしい舞でしたね
扇の使い方の美しかったこと!
個々の方々のエネルギーが弾け飛んで
光り輝いていました。
また
後ろ向きで座っている生徒の皆さん
良く 地謡をなさいました。
コピーを見ながら
懸命にお謡されている姿に
感動させられました。
Y部顧問のB先生も
「小袖曽我」良く舞われました
大変な時期は試練の時です。
私が本番当日に伺いました時
お一人のステージで
懸命に稽古されていましたね!
あの時
アンチョコはだめ。本物を学べ。
というつもりで
厳しい言葉を差し上げ、ごめんなさい。
色々ありました。
泰鳳会の方々も 今回は
良い学びになったことと思っています。
お互い、反省を重ねながら
次回 どこかで飛躍した姿を見たいものです。
吉田高校の皆様
またお会いしましょう!
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